加藤楸邨 詠むことと書くこと
2018年2月20日(火)―3月24日(土)
開館時間 | 午前9時30分~午後4時30分(入館は午後4時まで) |
観 覧 料 | 一般200円 |
休 館 日 | 日曜日・月曜日・第4木曜日(2/22、3/22) |
編集委員 | 紅野謙介 |
所蔵資料展
「加藤楸邨 詠むことと書くこと」
開催にあたって
俳句が世界でもっとも短い詩であることはよく知られています。俳諧から俳句へと進化をとげたこの短詩の伝統は、正岡子規、高浜虚子、水原秋櫻子をへて、加藤楸邨という大きな俳人を生み出しました。第一句集『寒雷』に始まり、戦後の『火の記憶』『野哭』、そして『吹越』『雪起し』にいたる60年以上に及んで第一線で活躍したのが楸邨です。私たちは俳句を作ることを「詠む」と言います。「詠ずる」こと、声に出すことと結びついているのです。同時に筆をもって書くことも伴っています。言葉の組み合わせを考えるだけでなく、声で書く、手で筆を運ぶことと密接につながり、全身で言葉の宇宙を創り上げているのです。展示を通して、加藤楸邨の俳句にふれるとともに、その言葉の厚みと広がりを実感していただければ幸いです。最後に多くの資料をご寄贈いただいた加藤穂高氏、受贈に際しご尽力いただいた中村稔名誉館長にあらためて感謝の意を表します。
(編集委員 紅野謙介)
主な出展資料
第一部「俳人・楸邨」
「落葉松はいつめざめても雪降りをり」「雉子の眸のかうかうとして売られけり」など楸邨の代表句の書を、水原秋櫻子、石田波郷など交流のあった俳人たちの作品とともに展観します。
第二部「書と句をひとつに」
書句集『雪起し』収録作品を中心に「詠むことと書くこと」を一つにした作句法で書かれた筆墨資料、遺愛の文房具、大岡信との連句作品を展観します。
加藤楸邨(1905-1993)
俳人。60年に及ぶ句業の中で多くの秀句を詠む。『まぼろしの鹿』で蛇笏賞、『怒濤』で詩歌文学館賞を受賞。60代の頃から書と句をひとつにした独自の作句法をとり、その作品は書句集『雪起こし』に結実した。主宰誌「寒雷」には多くのすぐれた俳人が集った。